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【音声変化の解説】発音もリスニングも上達する5つの「音声変化」のルールと具体例を英語コーチが詳しく解説します!

日本人は中高に膨大な時間を英語学習に使うのに英語が話せない

「外国人に道を聞かれて困った。。。。?」
「中学・高校と6年間英語を勉強してきたのに、英語が話せない。。。。聞けない。。。。」
「頑張って英語を話したけど、全く通じなかった。。。。。」

こういったお悩みの方は少なくありません。私たちは、多くの時間を英語の勉強に使ったのに、どうして英語でコミュニケーションがとれないのでしょうか?

英語が聞こえない理由は?

あなたは、「英語が聞こえないのは、ネイティブの話すスピードが速いからでしょう。」と考えることでしょう。確かにそれは、一理ありますが、英語が聞こえない主な原因は、他にあります。

日本人の予想している音≠ネイティブの発音

日本人のリスニングができない1番大きな理由はネイティブの発音の仕方を知らないからです。ネイティブは単語と単語が繋がると、音を落としたり、つなげたり、変えたりします。その発音の仕方を学校で習わないので、あなたの予想している音とネイティブの実際に発音している音にギャップが生まれ、英語が聞こえないという状態が発生します。

簡単な具体例をあげましょう。例えば、次の文章はどう発音しますか?

When did you arrive at Fukuoka? 「福岡にはいつ着いたの?」

おそらくあなたは、下記のような音になると予測をしたでしょう。
When did you arrive at Fukuoka?
(ウェン ディドゥ ユー アライブ アット フクオカ)

しかし実際に、ネイティブは、
When did you arrive at Fukuoka?
(ウェン ディジュ アライバッ フクオカ)と音を変えて発音します。

ネイティブは発音するときに音声変化を使っている

上記のように、単語と単語をつなげて、音を変えることを専門用語で「音声変化」と言います。これは英語だけでなく、日本語でも行われています。例えば、洗濯機を「せんたくき」と発音しませんよね?「せんたっき」と発音される方がほとんどだと思います。話し言葉は基本的に、ある程度楽をしてしゃべることができた方がコミュニケーションが円滑になるからです。

この音声変化を身につけると、英語が聞こえるようになるだけでなく、英語らしく発音ができるようになります。音声変化を身につけると英語らしい発音でかっこよく洋楽を歌えるようになります。さらに、ネイティブが実際に発音する音を知ることで、リスニング力が高まります。

音声変化のルールはたったの5つ

それでは、リスニング力を伸ばす鍵となる音声変化を学びましょう!しかし、読者の方は、次のように思われるかもしれません。

「音声変化の数は多いんでしょ?」
「内容が多すぎて覚えられない。」

このような心配をされるかもしれませんが、実は、音声変化はランダムに行われるのではなく、ある一定のルールに基づき、行われているので、ルールを覚えて、トレーニングすれば、リスニング力を飛躍的に上げることができます。

しかも、音声変化はたったの5種類しかありません。この5種類の音声変化を身につけるだけで、あなたは発音とリスニング力の両方を上達させることができます。

音声変化の種類は「連結」「同化」「ら行化」「脱落」「弱形」の5つです。それでは、これらの音声変化がどのようなルールで起こりやすくなるのか、順番に見ていきましょう。

音声変化①連結

まず、1つ目の音声変化の「連結」は、単語どうしがつながって発音される音声変化です。

【ルール】単語の最後の子音と、次の単語の最初の母音が連続するとき。

英語の「母音」は、日本語の「アイウエオ」に近い音、「子音」はそれ以外の音を指します。

以下の「I have a car.」の例を見てください。「 “have” は母音 “e” で終わっているのに、子音?」と考えた人もいるかもしれませんね。注意すべき点は、単語の最後の子音というのは「発音上」の話であること。スペル上の見た目を指すのではありません。

英語はスペルと発音が完全に一致するとは限らない言語です。「have」は発音記号で表すと/hæv/。子音/v/で終わっていますね。したがって、語末の子音と次の語頭の母音がつながって発音される連結のルールが適用されるのです。

【例】
I have a car: アイ ハヴ ア ペン → アイ ハヴァ カー
an ant:アン アントゥ → アナントゥ
ride on:ライド オン → ライドン

音声変化②同化

2つ目の音声変化の「同化」は隣り合う音に影響を受けて、違う音に変わる音声変化。音声学的に厳密に分類すると、同化には細かく複数のパターンが存在します。

【ルール】/t/, /d/, /s/, /z/の音が後続の「y」(発音記号の表記は/j/)と混合するとき。

「y」の音と混ざり合うと、/t/, /d/, /s/, /z/はそれぞれ、/tʃ/「チュ」、/dʒ/「ヂュ」、/ʃ/「シュ」、/ʒ/「ジュ」のような発音に変わります。

【例】
I found you.:アイ ファゥンド ユー→アイ ファゥンヂュー
I won’t let you go.:アイ ウォント レット ユー ゴー→アイ ウォント レッチュー ゴー
I miss you.:アイ ミス ユー→アイミシュー

音声変化③ら行化

3つ目の音声変化の「ら行化」は、/t/や/d/の音が日本語の「ら行」のような音になる音声変化。アメリカ英語で起こりやすい傾向があります。日本語の「ら行」のような音を、音声学では「弾き音」と呼びます。アメリカ英語の話者とコミュニケーションをするときは、ら行化の音を習得しておくと、聞き取りやすいです。

【ルール1】/t/や/d/が母音に挟まれるとき。

【例】
Saturday:サタデイ→サラデイ
better:ベター→ベラー

【ルール2】/t/や/d/が母音と/l/に挟まれるとき。

【例】
battle:バトゥ→バロゥ
middle:ミドゥ→ミロゥ

音声変化④脱落

4つ目の音声変化の「脱落」はあるべき音が発音されない、あるいは聞こえにくくなる音声変化です。

【ルール1】破裂音が語末に来るとき。破裂音とは、/p/, /t/, /k/, /b/, /d/, /g/の音で、口のどこかで空気を完全にせきとめて、それを解放することで出す音のことです。

語の最後に破裂音が来ると、その音が聞こえなくなることがあります。ただしこれは、完全になくなってしまうわけではなく、実際には口の形はそのままに子音を出そうとしているのです。ただ、その状態から空気が出ないために、聞こえにくくなります。

以下の例をご覧ください。「Stop!」の/p/の音では、/p/を発音するときのように唇を閉じます。そのまま空気を出さずに発音を終えれば、/p/は聞こえず、日本語で言えば小さな「ッ」が入ったような感じに聞こえます。これが「脱落」です。

【例】
Stop!:ストップ→ ストッ(発音しないが、口は/p/の形)
last night:ラストゥ ナイトゥ→ラスツ ナイッ(発音しないが、口は/t/の形)
a cash card:ア キャッシュ カアド→ア キャッシュ カアッ (発音しないが、口は/d/の形)

【ルール2】[子音+子音]のとき。前に来る子音が脱落します。

以下の例を見てみましょう。「Good bye.」をスペル通りに発音すれば、/d/、/d/という破裂音を2回続けて出す必要がありますが、発音上面倒なため、1回の破裂で済ませます。

あくまで破裂を起こしていないというだけなので、「グッドデイ」ではなく「グッデイ」というふうに息を止めた感じの音になるのです。

【例】
good day.:グッド デイ→グッデイ
nice smell:ナイス スメゥ→ナイスメゥ

【ルール3】/t/, /k/, /d/が、子音と子音のあいだに来るとき。アメリカ英語のカジュアルな話し言葉で起こりうる音声変化です。

子音が3つ連続する場合も、真ん中に来る/t/, /k/, /d/といった子音が破裂なしで発音され、聞こえなくなることがあります。以下の図の「landmark」は、/ndm/というふうに子音が3つ連続しているので、真ん中の/d/の音はしばしば脱落します。

【例】
landmark:ランドマーク→ランッマーク、ランマーク
lastly:ラストゥリー→ラスツリー、ラスリー

【ルール4】/nt/の連続で、/t/が脱落。アメリカ英語のカジュアルな話し言葉で起こりうる音声変化です。

以下の例を見てみましょう。「winter」の/t/の音が、前に来る/n/の音に引っ張られて、同じような音になり、「ウィンナー」のような発音に。また、完全に脱落してしまい「ウィナー」のような発音になることもあります。

【例】
winter:ウィンター→ ウィンナー、ウィナー
interview:インタヴュー → インナヴュー、イナヴュー

音声変化⑤弱形

最後の音声変化の「弱形」は弱く短く発音される音声変化。人称代名詞、前置詞、be動詞、助動詞などが代表的です。これらは「機能語」と呼ばれ、単語自体ではキーワードになりにくいものの、文法の機能として必要な語です。

機能語には、「強形」と「弱形」の2種類の発音があります。強形の発音をすでに中高で習った方も多いでしょう。しかしネイティブは、文で特に強調される場合を除き、「弱形」で読む場合がほとんどです。2種類の発音の存在は学校で習う機会がほぼないため、知っておくと非常に便利です。

対して、名詞や動詞、形容詞など、意味内容が多く含まれる語のことを「内容語」といいます。キーワードになれる言葉は、キーワードになりにくい言葉よりも、はっきりと伝えたくなりますよね。「内容語」は強く、「機能語」は弱く発音されるという傾向を知っておくと、英語が格段に聞き取りやすくなります。

【ルール1】人称代名詞

【例】
you: 強形 júː 弱形 ju, jə
he: 強形 híː 弱形 iː
her: 強形həːr  弱形 hər, ər

【ルール2】前置詞

【例】
of: 強形 ʌv, ɑv, ɔv 弱形 əv
for: 強形 fɔːr 弱形 fər
to: 強形 tuː 弱形 (子音の前) tə, (母音の前) tu

【ルール3】be動詞

【例】
be: 強形 bíː 弱形 bi
an: 強形 ǽm 弱形 əm
is: 強形 iz 弱形 s, z

【ルール4】助動詞

【例】
will:強形 wil 弱形 wəl, əl, l
would: 強形 wud  弱形 wəd, əd
have: 強形 hæv 弱形 həv, əv

強形と弱形の違いが分かる例文

【例】
Our work begins at six.
Rob can see you.
This soup is easy to make.
*太字の単語が強く長く発音され、それ以外の部分は短く発音されることが多いです。

上記のように、弱形でよく出てくる発音が「曖昧母音」と呼ばれる/ə/。口をほとんど開けずに発音する「ア」をイメージすると、出しやすい音です。「曖昧母音」をマスターして、強弱のリズムをつけて読めるようになると、英語らしい自然な発音に近づきます。

まとめ

音声変化のルールは、以上の5つです。まずは5つの音声変化が起こるルールをしっかり覚えましょう。5つの音声変化のルールの解説は下記の動画でまとめていますので、是非、ご覧ください。ネイティブの英語が「速い」というのは、ただの「思い込み」です。「音声変化の5つのルールと条件を覚える」「覚えた音声変化のルールを使い、無意識に発音できるようになる」たったこれだけで、もうネイティブの英語が「速い」と感じなくなります。今回の音声変化の記事を参考に、細部まで聞き取れるリスニング力を身につけて、ビジネスシーンや日常英会話で役立ててください。

音声変化の解説動画

【プロフィール】

Toshiyuki Takiuchi(瀧内俊之)

関西学院大学で言語学、英語学、欧米文化について学ぶ。アメリカのエモリー大学で演劇科を専攻し、プレゼンの手法、舞台演出について学ぶ。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、NHKドラマで英語指導を担当。その後、大手英語コーチングスクールにて指導経験を積み、独立。ビジネス英語コーチングジム「 The DooR(ザ・ドアー)」のパーソナルトレーナーとして、TOEIC® L&Rの指導を行い、3か月で375点のスコアアップを記録。世界で活躍する起業家を育てる「Global Challenge」でビジネス英会話の指導を行い、受講生が、200組のうち、4組の選抜組に入賞。シリコンバレーの海外投資家にプレゼンする権利を獲得させた。日本の俳優に対し、ハリウッド・ブロードウェイへの進出をサポートする英語指導も行っている。YouTubeチャンネルのトシ先生のハリウッド英会話【海外映画・ドラマ】で英語学習やプレゼンのノウハウについて配信中。

Joseph DeChicchis(デキキス・ジョー)

関西学院大学総合政策学部教授。アメリカのペンシルベニア大学で言語学、イタリアのボローニャ大学で記号論、イギリスのサセックス大学で認知科学を学ぶ。現在は言語学、人類言語学、欧米文化コミュニケーションの研究に従事。世界の英語アクセントに精通している。関西学院大学の研究生に対し、言語学や認知科学、英語習得法について指導している。The DooRでは、カリキュラムアドバイザーとして、発音矯正、スピーキングスキルの強化、プレゼン対策など、受講生に対する英語コーチング指導のアドバイス、教材の監修を担当している。

 

Mitsuru Arakawa(荒川満)

大学卒業後、大手人材紹介会社に入社。大阪支店にて人材紹介の営業に従事。同グループのイギリス法人にて営業マネージャーとして営業体制の再構築を担当、取締役に就任し海外法人の経営に携わる。帰国後、東京本社にて海外就職希望者の海外転職、日系企業の海外進出を支援する部門のマネージャーとして勤務。同社を退職後、シンガポールにてArchAgent Pte Ltdを設立し、代表取締役社長を務める。The DooRでは、グローバルキャリアアドバイザーとして、英語面接の対策、英文レジュメの作成、海外での起業など、キャリアアップに関する英語コーチング指導のアドバイスを行っている。

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