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【アメリカ英語とイギリス英語の発音】違いを聞き分ける“4つのコツ”を 英語コーチが解説!映画「ホリデー」で学ぼう!

イギリス英語の発音に苦しむ日本人が多い

「アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いがわからない。」
「TOEICのスコアを上げたいが、イギリス英語の聞きとりができない。」
「IELTSで使われるイギリス英語の発音の仕方がわからない」

このようなお悩みはありませんか?TOEICやIELTSを受験する方が避けて通れないのが、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いです。日本の義務教育では、アメリカ英語しか習わないため、英語学習者であれば、誰でも、イギリス英語の発音の仕方について悩みます。実際に、英語のパーソナルトレーナーである筆者も、受講生からこのような相談をよく受けます。

アメリカ・イギリス英語の発音の違いには“4つの法則”がある

アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いは無数にあるように思われますが、ある一定の法則に基づいて発音がされています。しかも、その法則の数はたった “4つ”です。今回は、映画『The Holiday(邦題:ホリデイ)』のシーンを使い、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いがわかる”4つの法則”をご紹介します。

映画『The Holiday(邦題:ホリデイ)』で“4つの法則”を学ぶ

『ホリデイ』は休暇中にお互いの家を交換する「ホーム・エクスチェンジ」を題材にしたロマンティック・コメディです。下記は、アメリカ人の女性Amanda(アマンダ)が初対面のイギリス人男性のGraham(グラハム)を飲みに誘うシーンです。“4つの法則”を知識としてだけでなく、スキルとして使えるようにトレーニングをしたい方は下記の動画をご覧下さい。

アメリカ・イギリス英語の発音を身に付けるトレーニング動画↓

Amanda: Would you like something to drink? Glass of water? Tea? Wine, maybe?
(何かお飲みになる?お水?お茶?それか、ワインがいいかしら?)
Graham: I think there’s a bottle of brandy. You fancy a glass?
(確かそこにブランデーのボトルがあったんじゃないかな。一杯いかが?)
Amanda: Sure.
(是非!)
Graham: Good.
(良かった。)

法則①“R”の発音(アメリカ:母音+/r/とイギリス:母音のみ)

アメリカ英語では、母音に続く“R”を発音します。(R性母音)
イギリス英語では、母音に続く“R”を発音しません。(非R性母音)

単語アメリカ英語イギリス英語
carカー
airエアーエア
waterウォーラーウォータ
there’s(there is の略語)ゼアズゼズ

アメリカ英語のほうが、/r/の舌を巻く傾向が強いです。そのため、アメリカ英語だと、there’sの/r/ の発音をしますが、イギリスだ英語は/r/を発音しません。アメリカ英語では母音のあとの/r/を発音します。これを「R性母音」と言います。「R性母音」は、carやairといった語で、母音のあとの/r/を発音するR音性的な英語です。これに対し、イギリス英語では、carやairといった語で/r/を発音しない「非R音性母音」が使われます。

今回のスクリプトだと、there’sの発音はアメリカ英語だと(ðéərz)“ゼアズ”、イギリス英語だと、(ðéəz)“ゼズ”と発音します。同様に、waterのrもアメリカ英語では発音しますが、イギリス英語では発音しません。アメリカ英語だと“ウァーラー”、イギリス英語だと“ウオータ”になります。waterの“ア”と”オ”の発音の違いや“ラー”と“タ”の発音の違いについては、下記の法則②③で解説します。

法則②“O” の発音(アメリカ:/ɑ/とイギリス:/ɔ/)

アメリカ英語では “O” の発音を(/ɑ:/:“アー”) と顎を大きく開けて発音します。
イギリス英語では“O” の発音を(/ɔ:/:“オー”) と口を丸く開けて発音します。

単語アメリカ英語イギリス英語
hotハットホット
boxバックスエア
waterウォーラーウォータ
bottleバラーボトー

今回のスクリプトだと、waterやbottleが当てはまります。そのため、bottleはアメリカ英語だと“バラー”、イギリス英語だと、“ボトー”になります。bottleの“ラー”とトー”の発音の違いについては、下記の法則③で解説します。

法則③“T” の発音(アメリカ:/d/,/l/とイギリス:/t/)

アメリカ英語では、“T” の発音を/d/または /l / のような日本語のラ行に近い音で発音します。(flapT:ラ行化)
イギリス英語では、“T” の発音をスペル通りに/t/を発音します。

単語アメリカ英語イギリス英語
 betterベラーベタ
littleリローリトー
waterウォーラーウォータ
bottleバラーボトー

上記のルールのため、今回のシーンで出てきたwaterはアメリカ英語だと“ウァーラー”、イギリス英語だと“ウオータ”になり、bottleはアメリカ英語だと“バラー”、イギリス英語だと、“ボトー”になるというわけです。

上記の(flapT:ラ行化)のように、ネイティブは日常的に、自分がしゃべりやすいように、音を変えて発音することが多いです。これを「音声変化」と言います。この「音声変化」を知ることで、ネイティブに近い発音ができるようになります。「音声変化」についての詳細は、こちらの記事をご参照ください。「音声変化」も”5つの法則”があるので、それを覚え、トレーニングするだけで発音が劇的に改善します。

法則④“A” の発音(アメリカ:/ae/とイギリス:/ɑ:/)

アメリカ英語では、“A” の発音を/ae/(“アとエの中間音”で“エ”に近い音)で発音します。
イギリス英語では、“A” の発音を/ɑ:/(顎を大きく開けて“アー”という音)で発音します。
※「æ」の直後に/s/、/f/、/θ/、/ð/の音が来るときに上記の変化が起こります。

単語アメリカ英語イギリス英語
 fastフェストファースト
halfヘーフハーフ
bathベスバース
ratherレザーラーザー
glassグレスグラース

今回のスクリプトでは、glassが当てはまります。

まとめ

このように、アメリカ英語とイギリス英語の発音は上記4つのルールでかなり聞き分けることができるようになります。TOEICやIELTSの受験で、イギリス英語の学習が必要な方は、是非、ご参照ください。

※上記4つの法則に当てはまらない例外の単語もあります。例えば、アメリカもしくは、イギリスだけでしか使われない単語やフレーズもあります。例えば、Grahamの下記のセリフで出てきたfancyはイギリス英語で動詞として、日常会話でよく使われます。fancyはwantと同じく、「~が欲しい」の意味になります。

I think there’s a bottle of brandy. You fancy a glass?
(確かそこにブランデーのボトルがあったんじゃないかな。一杯いかが?)

このような、アメリカもしくは、イギリスだけでしか使われない単語やフレーズについては、別記事にてまとめて掲載致します。今日は、アメリカ英語とイギリス英語の発音ができるようにトレーニングしましょう。”Study Less, Learn More!”

【プロフィール】

Toshiyuki Takiuchi(瀧内俊之)

関西学院大学で言語学、英語学、欧米文化について学ぶ。アメリカのエモリー大学で演劇科を専攻し、プレゼンの手法、舞台演出について学ぶ。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、NHKドラマで英語指導を担当。その後、大手英語コーチングスクールにて指導経験を積み、独立。ビジネス英語コーチングジム「 The DooR(ザ・ドアー)」のパーソナルトレーナーとして、TOEIC® L&Rの指導を行い、3か月で375点のスコアアップを記録。世界で活躍する起業家を育てる「Global Challenge」でビジネス英会話の指導を行い、受講生が、200組のうち、4組の選抜組に入賞。シリコンバレーの海外投資家にプレゼンする権利を獲得させた。日本の俳優に対し、ハリウッド・ブロードウェイへの進出をサポートする英語指導も行っている。YouTubeチャンネルのトシ先生のハリウッド英会話【海外映画・ドラマ】で英語学習やプレゼンのノウハウについて配信中。

Joseph DeChicchis(デキキス・ジョー)

関西学院大学総合政策学部教授。アメリカのペンシルベニア大学で言語学、イタリアのボローニャ大学で記号論、イギリスのサセックス大学で認知科学を学ぶ。現在は言語学、人類言語学、欧米文化コミュニケーションの研究に従事。世界の英語アクセントに精通している。関西学院大学の研究生に対し、言語学や認知科学、英語習得法について指導している。The DooRでは、カリキュラムアドバイザーとして、発音矯正、文法理論、スピーキングスキルの強化など、受講生に対する英語コーチング指導のアドバイスや、教材の監修を担当している。

 

Mitsuru Arakawa(荒川満)

大学卒業後、大手人材紹介会社に入社。大阪支店にて人材紹介の営業に従事。同グループのイギリス法人にて営業マネージャーとして営業体制の再構築を担当、取締役に就任し海外法人の経営に携わる。帰国後、東京本社にて海外就職希望者の海外転職、日系企業の海外進出を支援する部門のマネージャーとして勤務。同社を退職後、シンガポールにてArchAgent Pte Ltdを設立し、代表取締役社長を務める。The DooRでは、グローバルキャリアアドバイザーとして、英語面接の対策、英文レジュメの作成、海外での起業など、キャリアアップに関する英語コーチング指導のアドバイスを行っている。

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