7つの認知特性タイプ×第二言語習得研究|最速で英語を習得する科学的学習法

1. 英語を何年も学んでいるのに「話せるようにならない」理由
学校で何年も英語を学んだのに、いざ会話になるとうまく言葉が出てこない。そんな経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。これは決して、あなたの努力が足りないわけでも、能力が低いわけでもありません。
実は、従来の丸暗記中心の学習法は、知識としての英語を身につけるには有効ですが、実際に使いこなすための「運用能力」を伸ばすには限界があります。世界中の英語学習者が同じ悩みを抱えており、言語学や第二言語習得研究(SLA)においても、「なぜ学んだ英語が使えないのか」という課題が研究され続けています。(※)大切なのは、あなたに合った学習法を見つけること。そして、英語の「知識」を「使えるスキル」へと変える方法を知ることです。
※第二言語習得研究(SLA)は、人が第二言語をどのように学び、習得するかを研究する分野です。この研究では、言語の習得過程、学習者の特性、学習環境、教授法などが分析されます。主な目的は、効果的な言語学習方法を見つけ、学習者がよりスムーズに第二言語を習得できるようにすることです。SLAは、心理学、教育学、言語学などの知見を取り入れながら、言語学習のメカニズムを解明しようとしています。
2. 認知特性×第二言語習得研究であなたに合った学習法を見つける
言語学や第二言語習得研究(SLA)では、英語力を伸ばすためには、自分の弱点をしっかり理解し、それに合った学習方法を取り入れることが最も効果的だとされています。さらに、認知特性における研究では「自身に合った学習スタイルが、より高い学習成果をもたらす」ことがわかっています。立命館大学大学院 言語教育情報研究科の田浦秀幸教授は、次のように語っています。
「英語力の向上のためには、『現在の英語力はこんな風で、目的はこんなこと、そのためにはこの方法が最も効果が上がるだろう』という、とても個別的なものです。
英語をこれから始めるような初心者の方と、大学受験でしっかり勉強をして、文法的な基礎や一定のリーディングの能力があるという方では、トレーニングの内容は当然違ってきます。」
また、認知特性に基づく研究からは、自分に合った学習スタイルが高い成果をもたらすことが分かっています。株式会社オトバンクが行った調査では、401人のビジネスパーソンの約70%が「耳」を使った学習、つまり聴覚的な学習に向いていることが分かりました。この結果は、認知特性に基づく学習スタイルが実際の学習効果に大きく影響することを示しています。
さらに、筆者が運営するビズイングリッシュコーチでは、3ヶ月間のプログラムでTOEICスコアが410点アップした実績があります。これは、従来の学習法ではなく、各自の認知特性を活かしたアプローチが実践的な英語運用能力を向上させることを示しています。
この記事では、最新のSLA理論をもとに、ビジネスシーンで役立つ英語力を身につけるための具体的な学習法を詳しく解説します。自分の認知特性を活かす方法が、英語学習を「結果の出る投資」に変える理由をお伝えします。
3. 認知特性とは?
認知特性とは、人が情報をどのように処理し、記憶し、理解するかという特性のことです。個人の認知の得意不得意を「優劣」ではなく「多様性」として認め、生かそうとするのが「認知特性」の考え方です。認知特性には視覚、言語、聴覚、体感覚などの異なるタイプがあり、個人によって得意なものや苦手なものがあります。自分の認知特性を理解することで、英語学習において以下の3つのメリットが得られます。
【自分の認知特性を英語学習に活かす3つのメリット】
① 自分に最適な学習法が分かる → 無駄な勉強時間を減らせる
② 学習が「楽しい」と感じやすくなる → 挫折しにくくなる
③ 英語を実際に使うスキルが向上する → 会話力やリスニング力がアップする
次の章では、7つの主要な認知特性タイプを紹介し、それぞれに適した学習法を詳しく解説します。
4. 自分に合った勉強法:7つの認知特性に合わせたアプローチ
この「認知特性」は、大きく分けて視覚優位・言語優位・聴覚優位などがあると言われていますが、医学博士・医師の本田真美氏によれば、さらに細かく下記の【7つの認知特性】の内、6タイプ(①〜⑥)に分類できるそうです。
ビズイングリッシュコーチでは、英語学習に最適化するため、本田真美氏が提唱する6つの学習タイプに加え、キネスティックラーニング(触覚学習・体験学習)を得意とする「触覚&運動タイプ(⑦)」を追加し、認知特性を7つに分類しています。
Dunn & Dunn(1978)やSpence(2006)の調査により、キネスティックラーニングを好む学習者が30~45%にのぼることが示されています。 また、Mulalic(2009)やGilakjani(2012)の研究では、ESL(英語を母語としない学習者)がキネスティック学習を最も好む傾向があることが明らかになっています。
【7つの認知特性】
①写真(カメラアイ)タイプ:写真や絵など二次元で考える
②三次元映像タイプ:空間や時間軸を使い三次元で考える
③言語映像タイプ:文字や文章を映像化して考える
④言語抽象タイプ:文字や文章を図式化して考える
⑤聴覚言語タイプ:文字や文章を音として情報処理する
⑥聴覚&音タイプ:音色や音階など音楽的イメージを脳に入力する
⑦触覚&運動タイプ:身体を使った動作や体験を通じて情報を処理する
ここからは、7つの認知特性ごとに具体的な勉強法をご紹介していきます。「あ、これならできそう!」と思うものがあれば、ぜひ取り入れてみてください。逆に「これは苦手だな」と思うものは無理に取り入れる必要はありません。独学では、自分が楽しみながら続けられる方法を選ぶことが大事です。
4-1. 写真(カメラアイ)タイプ
写真(カメラアイ)タイプの学習者は、画像や視覚的な情報を使って記憶するのが得意 です。単語やフレーズを文字だけで覚えるのではなく、視覚的なイメージと結びつけることで、記憶の定着が大幅に向上します。
【最適な学習法】
①落書き単語暗記術→ 覚えたい単語の意味をイラスト化し、関連するキーワードを一緒に書く
例えば、”apple” を覚える際に、リンゴの絵を描き、その周囲に “red” “sweet” “fruit” などの特徴を書くことで、視覚的な関連性を強化できます。
②フラッシュカードの活用→ 画像付きのフラッシュカードを使い、単語と視覚的イメージをセットで記憶
アプリ(Anki, Quizlet)を活用し、単語とその意味をイラストや写真と一緒に覚えると、単語単体の暗記よりも記憶が持続します。
③マインドマップで情報整理→ 文法や語彙をマインドマップにまとめ、情報の関連性を視覚化
例えば、”food” を中心に**”fruit” “vegetable” “meat” などのカテゴリーを放射状に整理することで、関連語彙を視覚的に捉えられます。
【学習効果】
視覚的な情報と結びつけることで、単語やフレーズが映像として記憶され、学習の定着率が大幅に向上します。
4-2. 三次元映像タイプ
三次元映像タイプの学習者は、時間の流れや空間的な情報を立体的に捉えるのが得意 です。このタイプの人は、実際の場面を思い浮かべながら学ぶと、記憶の定着率が向上します。
【最適な学習法】
① 想起トレーニング術 → 学習した環境や状況を再現し、目を閉じて「その瞬間」を思い出す
例えば、新しい単語を学んだ際に「その単語をどこで覚えたか、何を感じたか」まで再現しながら思い出すことで、より強く記憶に残ります。
② ロールプレイ学習 → 実際の会話シチュエーションを再現しながら学ぶ
例えば、ビジネス英会話を学ぶ場合は、実際の会議資料を用意し、英語で会話するを練習をすることで、単なる暗記ではなく、実際の業務と結びついた形で英語を習得できます。
③ ストーリーベースの単語学習 → 単語やフレーズをストーリー仕立てで覚える
例えば、”journey” を学ぶ際に「自分が旅行に行くシナリオ」を作り、旅の出来事と結びつけることで、単語が単なる記憶ではなく、体験として残ります。
【学習効果】
空間や状況を立体的に再現することで、知識が実生活のシチュエーションと結びつき、単語やフレーズを記憶しやすくなります。
4-3. 言語映像タイプ
言語映像タイプの学習者は、文字情報を映像化して記憶するのが得意です。文章を読む際、単語の意味を拾うだけでなく、場面ごとに映像化することで、理解と記憶の定着が飛躍的に向上します。
【最適な学習法】
①イメージ記憶術→ 文章を映画のワンシーンのように想像しながら読む
例えば、”He was impressed by her performance.” という文章を読んだ際に、劇場で観客が拍手している映像を頭の中に描くことで、意味が直感的に理解できます。
②動画を活用→ NetflixやYouTubeの英語字幕付き映像を視聴し、場面と英語表現を結びつける
例えば、ドラマのワンシーンを繰り返し観ながら**「このシチュエーションでは、この英語表現が使われる」と映像とリンクさせる**と、自然にフレーズが記憶されます。
③視覚化ノートを作成→ 読んだ文章の場面をイラストや図にして記録
例えば、小説を読んだら登場人物の相関図や場面の構成を図にすることで、内容理解が深まり、英語の表現も一緒に覚えられます。
【学習効果】
視覚的な情報を活用することで、英語表現の意味が直感的に理解でき、記憶の定着が高まります。
4-4. 言語抽象タイプ
言語抽象タイプの学習者は、情報を体系的に整理し、論理的に理解するのが得意です。このタイプの人は、図や表を活用することで学習効果を最大化できます。
【最適な学習法】
① コーネル式ノート術 → ノートを「メモ」「キーワード」「要約」に分けて整理
例えば、英語の講義を受けた後、左側にキーワード、右側に詳細なメモ、下部に要約を書くことで、情報を効率的に整理できます。
② 語源のチャート化→ 語源を可視化し、単語の関連性を理解する
例えば、「contract」という単語を学ぶ際に、”con-“(一緒に)+”tract”(引く)という語源を図に整理し、関連語の「attract(引きつける)」や「detract(引き下げる)」と比較すると、単語の意味を直感的に理解しやすくなります。語源のチャートを作成することで、新しい単語の意味を推測する力も養われます。
③ 論理的な要約練習 → 英文を読んだ後、要点を簡潔にまとめるトレーニングを行う
例えば、ニュース記事を読んだ後、「5W1H」を使って要点を整理し、英語で簡潔に要約すると、文章構造を論理的に把握できます。
【学習効果】
情報を論理的に整理することで、学んだ知識が体系的に記憶されます。
4-5. 聴覚言語タイプ
聴覚言語タイプの学習者は、音で情報を処理するのが得意です。耳からのインプットを活用することで、英語の発音やリズムを効率よく習得できます。このタイプの人は、文字よりも音声を優先的に取り入れる学習法が効果的です。
【最適な学習法】
① シャドーイング → ネイティブスピーカーの音声を真似して発話する
例えば、TED TalksやBBCニュースの音声を聞きながら、1~2秒遅れで発話することで、発音・リズム・イントネーションを自然に習得できます。最初はスクリプトを見ながら行い、慣れてきたらスクリプトなしで挑戦すると効果的です。
② モデル音声&録音学習 → ネイティブスピーカーのモデル音源と自分の録音した音声を比較して学習する
例えば、映画のセリフや英語教材の音声を聞き、自分で録音した音声と比較することで、発音の違いやリズムを調整できます。英語発音アプリ(ELSA Speak など)を活用し、フィードバックを得るのも有効です。
③ リスニング+口頭アウトプット → 聞いた英語をそのまま自分で言い直す練習
例えば、PodcastやYouTubeの英語学習チャンネルを活用し、聞いたフレーズを即座に繰り返すことで、会話力を鍛えることができます。この方法は「リスニングしながら話す」という実践的なスキルを養うのに役立ちます。
【学習効果】
音声を使った学習を中心にすることで、英語の発音、リズム、イントネーションが飛躍的に向上します。また、リスニング能力の向上により、ネイティブの英語が聞き取りやすくなり、会話時の理解力も高まります。
4-6. 聴覚&音タイプ
聴覚&音タイプの学習者は、音楽的なリズムやメロディーを活用することで、記憶の定着が向上する特徴があります。このタイプの人は、単調な暗記ではなく、リズムに乗せることで英語をスムーズに習得できる傾向があります。
【最適な学習法】
① メロディ暗記法→ 英語のフレーズやイディオムをメロディーに乗せて覚える
例えば、ディズニーの曲やビートルズの「Let It Be」 など、ゆっくりとしたリズムの曲を活用し、覚えたいフレーズを繰り返し歌うことで、英語表現が自然に記憶に定着します。
② シラブルトレーニング→ 文章やフレーズの音節(シラブル)ごとに区切り、正しい強弱やリエゾンを意識して発話する
英語のリズムを意識しながら、「What do you want to do?(Whaddaya wanna do?)」のようなフレーズを、シラブル(音節)ごとに分けてゆっくり発音し、徐々に自然なスピードに近づける練習を行います。このシラブルトレーニングを通じて、英語特有のストレスや音声変化を再現し、ネイティブのような発話の流れを身につけることができます。
③ 歌詞シャドーイング→ 英語の歌詞を聞きながら、リズムに合わせて発話し、発音・イントネーションを強化する
最初は字幕を見ながら、徐々に歌詞なしでリピートできるように練習します。エド・シーランの「Perfect」やクイーンの「We Will Rock You」 など、発音が明瞭な楽曲を選ぶと効果的です。また、ジャズやヒップホップのリズムを活用したスピーキング練習も、リスニング力向上に役立ちます。
【学習効果】
メロディーやリズムを活用するこメロディー暗記法で、単語やフレーズの意味や発音法を記憶し、スムーズに英語を話せるようになります。また、音楽をベースにした学習法は、楽しく継続しやすいというメリットがあります。
※【メロディー暗記法の詳細はこちら】をご覧ください。
4-7. 触覚・運動タイプ
触覚・運動タイプの学習者は、実際に体を動かしたり、体験することで学習効果が向上します。このタイプの人は、五感を活用する学習法を取り入れることで、より効果的に英語を習得できます。
【最適な学習法】
① ロールプレイ → 実際の会話シーンを演じながら英語を学ぶ
例えば、ビジネス英会話を学ぶ際に、「会議での発言」「プレゼン」「交渉」などのシナリオを作り、実際に英語でロールプレイを行います。机上の学習ではなく、リアルな状況を再現することで、使える英語表現が自然に身につきます。
② ジェスチャーを活用 → 身振りと語源を組み合わせて英語表現を定着させる
例えば、「explain(説明する)」という単語を覚える際、語源とジェスチャーを組み合わせることで、より深く理解しやすくなります。「explain」は “ex-“(外へ)+ “planare”(平らにする、明確にする) という語源を持ち、「情報を外に出して明確にする」 というイメージが含まれています。これを学ぶ際に、実際に手を動かして「相手に向かって何かを説明するジェスチャー」を加えることで、単語の意味を直感的に理解でき、記憶に定着化しやすくなります。
③ 体験型学習 → 実際に英語を使う環境に身を置く(海外留学・英語イベント参加)
例えば、英語を話す機会を増やすために、英語カフェ、オンライン英会話、国際交流イベントなどに参加し、ネイティブスピーカーや外国人と積極的にコミュニケーションを取る。こうした実体験を通じて、英語の「実践力」を養うことができます。
【学習効果】
体験を通じた学習により、英語の知識が実際の行動や体験と結びつくため、記憶の定着率が向上します。また、実際に英語を使うことで、自信を持って英語を話せるようになります。特に、ビジネスシーンでの英会話やスピーチの準備に効果的です。
※【体験学習法で成果を上げた受講生のインタビューはこちら】をご確認ください。
5. 全タイプの学習者に効果的な共通学習法10選
上記のように、タイプ別の学習法はさまざまですが、どんなタイプの学習者にも有効とされる「学習の基盤となる10のテクニック」も存在します。ここでは、それぞれの方法を少し深掘りしてご紹介します。
5-1. 有酸素運動で血流アップ
実践例:朝のジョギングやウォーキング中に英語のポッドキャストを聴く。
効果:軽い運動により脳への血流が増し、集中力と記憶力が向上します。
ポイント:激しい運動ではなく、適度なペースで行うことが重要です。
5-2. 30分後の復習
実践例:新たに学んだ単語や文法を、学習後30分以内に再確認する。
効果:エビングハウスの研究によると、学習後1時間で約50%の情報が忘却されるため、30分後の復習が短期記憶を長期記憶に変換する第一歩として非常に有効です。
ポイント:学習直後、30分後、1日後、1週間後と、復習タイミングを段階的に設けると効果が高まります。
5-3. 多感覚統合
実践例:テキストを読みながら音声教材を聴き、声に出して繰り返し、場合によっては書き出す。
効果:視覚、聴覚、触覚を同時に刺激することで、情報が複数の経路から記憶に定着します。
ポイント:それぞれの感覚チャネルが連携するよう意識して学習するのがコツです。
5-4. 理解と関連づけ
実践例:単語やフレーズの語源、背景情報、使用例などを調べ、既存の知識と結び付ける。
効果:単なる暗記ではなく、知識のネットワークとして定着し、応用力が身につきます。
ポイント:ストーリーやシチュエーションを具体的に想起することが重要です。
5-5. 休憩とリフレッシュ
実践例:1時間の集中学習後、5~10分間の休憩を取り、ストレッチや水分補給を行う。
効果:脳の疲労を軽減し、次の学習セッションでの集中力を維持できます。
ポイント:定期的な短い休憩を挟むことで、長時間の学習が持続可能になります。
5-6. 定期的な自己評価
実践例:週単位や月単位で模擬テストや小テストを実施し、自分の進捗と弱点をチェックする。
効果:自分の成長や課題を客観的に把握し、学習プランの改善につながります。
ポイント:フィードバックをもとに学習計画を柔軟に調整することが大切です。
5-7.スケジュール管理と目標設定
実践例:週間、月間、さらには長期的な目標を設定し、カレンダーやアプリで進捗を管理する。
効果:学習のゴールが明確になるため、モチベーションが維持され、計画的に学習が進みます。
ポイント:達成可能な小目標を積み重ねることで、達成感を実感できます。
5-8. フィードバックの活用
実践例:講師、学習仲間、オンラインコミュニティなどから定期的に意見やアドバイスを受ける。
効果:他者の視点を取り入れることで、自分では気づきにくい改善点を発見し、学習効果が向上します。
ポイント:素直にフィードバックを受け入れ、実践に活かす姿勢が重要です。
5-9. アウトプットの場を作る
実践例:オンライン英会話、ディスカッション、プレゼンテーションなど、実際に英語を使う場を設ける。
効果:インプットした知識が実際のコミュニケーションで活用され、記憶がより定着しやすくなります。
ポイント:最初は緊張するかもしれませんが、継続することで自信がつきます。
5-10. ポジティブな学習環境の構築
実践例:自分が集中できる静かな場所を確保し、快適な学習ツールやBGM、適切な照明など、学習に適した環境を整える。
効果:心理的な安心感や集中力が高まり、学習が「楽しい」と感じられる環境が形成されます。
ポイント:香りの良いアロマやお気に入りの文具など、小さな工夫も大きな効果をもたらすことがあります。
6. 弱点診断と徹底補強の重要性
どんなに優れた学習法やテクニックを取り入れても、自分の具体的な弱点を正確に把握し、ピンポイントで補強しなければ最大の成果は得られません。
例えば、リスニングにおいては以下のケースが考えられます。
① 「意味がわかる単語のみで内容を推測している」場合:
語彙が不足していると考え、徹底した単語学習が必要です。
② 「ある文法項目がわからず内容を推測している」場合:
該当する文法項目の理解を深めるため、文法イメージトレーニングや瞬間英作文を実施し、実践的な会話力の向上を図ります。
③ 「単語や文法は理解しているが、意味理解のスピードが遅い」場合:
読解プロセス(眼球停留、言葉の変換、頭の中での整理)を分析し、特に「言葉の変換」が不足している場合、実際に声に出して読む「音読」トレーニングを重点的に行います。
ビズイングリッシュコーチでは、これらの課題を正確に見極め、個別に最適な補強プログラムを提供することで、短期間で成果を上げるお手伝いをしています。【課題発見と解決のための具体的なアプローチ」詳細はこちら】をご覧ください。
7. まとめ
なぜ英語が「使えるレベル」にならないのか?
暗記中心の学習法では、英語を実際に使う力を十分に伸ばすことが難しい。
認知特性×SLA(第二言語習得研究)で学習法を最適化
自分の弱点を把握し、認知特性に合った学習法を取り入れることで、短期間でも大きな成果が得られる。
7つの認知特性
自分に合った学習スタイルを選ぶことで、学習の楽しさが増し、挫折しにくくなる。
共通学習法10選
どのタイプの学習者にも効果的なテクニックを活用し、英語力の基礎を強化する。
弱点診断と徹底補強
学習効果を最大化するには、自分の弱点を正確に把握し、ピンポイントで克服することが重要。
8. 終わりに
英語を「使えるレベル」に引き上げるには、単語や文法の知識を増やすだけでなく、自分に合った学習スタイルを見つけることが重要です。認知特性を理解し、それに基づいた学習法を取り入れることで、学習の効率やモチベーションは飛躍的に向上します。ただし、優れた学習法でも、弱点を補強しなければ効果は限定的です。
今回ご紹介した 7つの認知特性 と 共通学習法10選 を活用し、自分に最適な学習環境を整えましょう。英語学習に対するイメージが「苦しい」から「楽しい」へと変わるきっかけになれば幸いです。
もし、さらに具体的な学習計画やサポートが必要であれば、ビズイングリッシュコーチのプログラム をぜひご検討ください。
9. 参考文献
Fleming, N. D., & Mills, C. (1992). Not Another Inventory, Rather a Catalyst for Reflection. To Improve the Academy.
Othman, N., & Amiruddin, M. H. (2010). Different Perspectives of Learning Styles from VARK Model. Procedia – Social and Behavioral Sciences.
Dunn, R., & Dunn, K. (1978). Teaching Students Through Their Individual Learning Styles: A Practical Approach.
Spence, M. (2006). Graphic Design: Collaborative Processes – Understanding Self and Others.
Mulalic, A., Shah, P. M., & Ahmad, F. (2009). Perceptual Learning Styles of ESL Students. European Journal of Social Sciences.
Gilakjani, A. P. (2012). Visual, Auditory, Kinaesthetic Learning Styles and Their Impacts on English Language Teaching. Journal of Studies in Education.
Kunjufu, J. (2011). Understanding Black Male Learning Styles.
Ciotto, C. M., & Fede, M. H. (2017). PASS: Creating Physically Active School Systems. Journal of Physical Education, Recreation & Dance.
本田真美(2023)『医師のつくった「頭のよさ」テスト~認知特性から見た6つのパターン~』光文社新書.
Oladele, O. K. (2024). Kinesthetic Learning: Hands-On Learning and Active Engagement. Federal University of Agriculture.
明治図書オンライン「教育zine」. (2024). 教育オピニオン.
- 独自のレッスンで
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プロフィール
- 専属パーソナルコーチ
瀧内俊之
(Toshiyuki Takiuchi)関西学院大学で英語習得学、英語音声学、英語文化コミュニケーション学について学ぶ。米国のエモリー大学で演劇科を専攻し、プレゼンの手法、舞台演出の研究に従事。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、NHKドラマで英語指導を担当。その後、大手英語コーチングスクールにて指導経験を積み、ビズイングリッシュコーチを設立。
- 学習カリキュラム監修者
デキキス・ジョー教授
(Joseph DeChicchis)関西学院大学総合政策学部教授。英語習得学、英語音声学、英語文化コミュニケーション学の研究に従事。世界各国の英語アクセントに精通している。ビズイングリッシュコーチでは、英語習得学の知見を活かし、発音矯正、文法理論、スピーキングメソッドなどの学習カリキュラムやオリジナル教材の監修を担当。