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【チャンクリーディング】”英語が素早く読めて、聞こえるようになる勉強法”を映画「ミニマリズム」で学ぼう!

99%の日本人は、英語を素早く正確に読めない

リーディングは正確に読むことが大切ですが、英検やTOEIC、TOEFL、IELTSなどの試験では、正しく読めることに加えて、時間制限の中でたくさんの英文を素早く読む力も求められます。

しかし、日本人の英語学習者は次のような悩みを持っています。

「英文を読むスピードが上がらない」
「書いてあることを正確に理解するのに時間がかかる」

こういった課題を持っている方は、あなただけではありません。大多数の方はネイティブの速度で英語を読むことができません。これはなぜでしょうか?

それは、あなたが、英語を日本語に訳しながら読んでしまっているからです。日本語と英語では語順が異なるため、日本語に訳しながら英文を読んでいると、文を前後に行き来しなければならないので、英語を読むスピードはなかなか上がりません。

この記事では、ドキュメンタリー映画「Minimalism(ミニマリズム)」のワンシーンを使って、あなたの英語のリーディングのスピードを上げる「チャンクリーディング」についてご紹介します。さらに、下記のYouTube動画をご覧になることで、あなたのリーディング力、リスニング力、スピーキング力を実践的に鍛えるトレーニングができます。

映画「Minimalism(ミニマリズム)」の概要

「Minimalism(ミニマリズム)」は、物質的な豊かさが幸せをもたらすというアメリカ的考え方を拒否し、シンプルな暮らしを実践するミニマリストに焦点を当て、真に大切なものとは何かを問うドキュメンタリー映画です。「ものを持つことが本当に自分の幸せにつながるのか?」ということについて考えさせられます。

下記のYouTube動画では、登場人物のRyan(ライアン)が、富や欲しいものを手に入れたにも関わらず、自分が満たされないことを告白しているシーンをとりあげています。動画はクイズ形式で始まり、フレーズのスピーキングやリスニングのスキルを向上できるトレーニングができます。チャンクリーディングについても解説しておりますので、英語の知識でなく、英会話スキルを身につけたい方は、動画をご覧ください。

フレーズの聞き取り

それでは、早速、Ryan(ライアン)の生の英語を聞いて、実践的な英語力を身につけましょう!英語学習は、単なる知識よりも実践で使えるスキルを身につけることが重要です。上記のYouTube動画を見るだけでなく、フレーズを発音して、リスニング力・スピーキング力を鍛えましょう!
「〜の結論に達する」のフレーズを含む英文が聞き取りのクイズになっています。長文ですが、この動画と記事をご覧になり、発音のトレーニングをした後は、かなり聞き取れるようになっています。

Ryanの過去の告白シーン

And I had everything I ever wanted.
私は欲しいものを全て手に入れました
Everyone around me said, “you’re successful.”
周囲からは成功者と言われました
But, really, I was miserable.
でも実際は惨めでした
I was spending money faster than I was earning it, attempting to buy my way to happiness.
稼ぐ以上のお金を浪費し幸せを買おうとしました
?????←YouTube動画で聞き取ってみましょう。
それによって、人生のある時点で、何が大切なのか分からなくなりました

「〜の結論に達する」の英語フレーズ

Ryanのフレーズを聞き取れましたか?
正解は、It got to a point in my life, where I didn’t know what was important anymore. でした。
自然なスピードで長文を話していたので、聞き取りづらかったと思います。

それでは、リーディングではRyanの話すスピードについていけるでしょうか?意外に思われるかもしれませんが、ほとんどの英語学習者の方は活字を見ても、ネイティブの話すスピードで文章の意味を理解ができません。実践的な英会話スキルをあげたい方は、もう一度Ryanの話のスピードに合わせて、正解の英文を読んでみましょう。リーディングでも会話のスピードについていくことが大変だと感じるでしょう。

日本語と英語の語順の違い

どうして、活字で読む速度でさえも、ネイティブから遅れをとるのでしょうか?それは、先述したように、英語と日本語の文法と語順には、大きな違いがあり、私たちが英文を理解するときに、後ろから前に返って訳してしまうからです。

例えば、It got to a point in my life, where I didn’t know what was important anymore.の文を日本語の語順で理解すると、下記のようになります。

それにより It
人生のある時点で a point in my life
もはや何が大切なのか what was important anymore.
わからなくなる I didn’t know
という結果に到達しました got to

このように、日本人は、英文を後ろから前に返って、意味を理解するので、英文の意味の理解に時間がかかります。この返り読みのせいで、多くの日本人が素早く、ネイティブのスピードで、英語を読んだり、聞いたりできないのです。これに対し、ネイティブは、英語を英語のまま内容を前から理解します。

日本人とネイティブの「英語の理解の仕方」の違い

日本人とネイティブの英語の理解の仕方の違いは、下記のようになります。

日本人: 後ろから前に返り、英語を日本語訳して理解する
ネイティブ:英語を前から、英語のまま理解する

下記の図のように、日本人は返り読みや日本語訳をして文章の意味内容を理解する(赤の矢印)ため、ネイティブの自然な話しのスピード(青緑の矢印)に意味の理解が追いつかず、リーディング、リスニングができません。そもそも、言語学の観点から言うと、英語と日本語は言語として、違いすぎる(※言語学では、英語と日本語の言語間の距離が遠いと表現します。)ので、英語を日本語に訳すことは、そもそも無理があり、ナンセンスな行為になります。

では、どうすれば、ネイティブのように、英語を英語のまま理解することができるのでしょうか?

チャンクリーディング(超速読解法)

それは、英語を意味のかたまりごとに理解する「チャンクリーディング」をすることです。チャンクリーディングとは、英文を「意味のかたまり(チャンク)」ごとに分け、前から順に読んでいく手法のことを言います。一文ごとにきれいに訳しながら読むのではなく、チャンク(文のなかの意味のかたまり)ごとに順番に処理していくのがポイントです。瞬時に英文の意味の切れ目を見つけて、チャンクごとに情景を思い浮かべながら読んでいくと、どんな複雑な文でも返り読みせずに、頭から順番に理解できます。

フレーズのチャンクリーディング

It got to a point in my life 私の人生の中で、それによって、ある結論に達した
where I didn’t know   (その結論とは)私がわからなくなったところ
what was important anymore.  もはや何が重要であるのか

Itは前文を指しています。I was spending money faster than I was earning it, attempting to buy my way to happiness. (稼ぐ以上のお金を浪費し幸せを買おうとしたこと)です。

get to a pointで「結論に達する」の意味です。
where SVで「S がVするところ」の意味です。

It got to a point で「それによって、ある結論に達しました」の意味になります。
結論に達したのはいつなのか?それがin my life「私の人生の中で」に続きます。
それは人生の中のどんな結論だったか?where I didn’t know「私がわからなくなったところ」に続きます。何が分からなくなったのか?それが、what was important anymore. 「もはや何が重要であるか」に続きます。

チャンクリーディングのコツ

このように、英文を前から理解するとネイティブのスピードでリスニングやリーディングができます。脳のワーキングメモリーは、一気に5~9語くらいのチャンクまでなら処理できるとされています。自分でチャンクに区切るときには、これを意識してみるとよいでしょう。

ワーキングメモリーとは、簡単に言うと入ってきた情報を頭の中で保持して、どの情報を覚えておけばいいのか、どの情報は削除していいのかを整理する能力の事です。ここでは、英語の文章を理解し、記憶する能力とも言えます。

フレーズの発音解説

It got to a point in my life where I didn’t know what was important anymore.のフレーズの発音を解説をします。英文の意味内容を理解できても、正しい発音ができなければ、リスニングはできません。YouTube動画でフレーズの発音を聞いたときに、「ネイティブが発音しているように聞こえなかった」「自分が予想していた発音と違った」と思われる方が大半でしょう。それもそのはず。ネイティブは自分が話しやすいように、音を変えて発音をするからです。これを「音声変化」と言います。

日本人も音声変化を使います。例えば、私たちは、洗濯機「せんたくき」のことを「せんたっき」と発音しますよね?これが音声変化です。音声変化について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
下記の図は、Ryanが実際に行っていた音声変化を記入したものです。

具体的に上記の音声変化の解説します。
It, got, point, what, important のTの音は脱落します。didn’tの2つのdはら行化(はじき音)します。
wasは弱形の発音になります。impotantの1つ目のTはグロッタルストップします。グロッタルストップとは、Tを飲み込むような音です。以上をまとめると、下記のような音になります。

It got to a point in my life
イッ ガッ トゥ ァ ポイン イン マイ ライフ
where I didn’t know
ウェア アイ リルン ノウ
what was impotant anymore.
ワッウズ インポーッン エニモア

※詳しく音声変化の発音を確認したい方は上記のYouTube動画をご覧ください。

それでは、YouTube動画で発音トレーニングをした後、もう一度リスニングをしましょう。
今度はフレーズが聞き取れるはずです。

全フレーズのチャンクリーディングと解説

次は、Ryanの告白シーンの全フレーズを解説します。下記は、Ryaのセリフをチャンクごとに分けた文章です。トレーニング用の資料として、ご活用ください。

Ryanの過去の告白シーン(全フレーズ)

And I had everything  私は全て手に入れました
I ever wanted.  私がずっと欲しかったものを
Everyone around me said,  周囲の人はみんな言いました
“you’re successful.”  「あなたは成功者だ」と
But, really, I was miserable.  でも実際は惨めでした
I was spending money faster  私はお金を早いペースで使っていました
than I was earning it,   稼ぐ以上に
attempting to buy my way  道を買おうとして
to happiness. 幸せへと繋がる

And I had everythingの後には、関係代名詞の目的格のwhichもしくはthatが省略されています。中高で習ったように、後ろから前に返って訳さないように気をつけましょう。関係代名詞は必要な情報を後から付け加える働きがあると考えると良いです。

I was spending money fasterの後のthanは後にS Vを従える接続詞です。than SVで「SがVする以上に」という意味になります。thanの接続詞も同様に、前文の情報に必要な情報を付け加える働きがあります。

attempt to Vで「Vしようとする」という意味になります。
way to A(名詞)で「Aへの道」という意味です。

以上を踏まえ、YouTube動画でRyanの告白シーンをもう一度ご覧ください。Ryanの英語がかなり聞こえるようになっているはずです。

このように、英会話では、ネイティブと同様に、前からチャンクごとに意味内容を理解することが重要です。今後の英語学習にお役立てください。英語の知識で満足するのでなく、実践的に使える英会話スキルを鍛えましょう!【Study Less, Learn More!】

【プロフィール】

Toshiyuki Takiuchi(瀧内俊之)

関西学院大学で言語学、英語学、欧米文化について学ぶ。アメリカのエモリー大学で演劇科を専攻し、プレゼンの手法、舞台演出について学ぶ。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、NHKドラマで英語指導を担当。その後、大手英語コーチングスクールにて指導経験を積み、独立。ビジネス英語コーチングジム「 The DooR(ザ・ドアー)」のパーソナルトレーナーとして、TOEIC® L&Rの指導を行い、3か月で375点のスコアアップを記録。世界で活躍する起業家を育てる「Global Challenge」でビジネス英会話の指導を行い、受講生が、200組のうち、4組の選抜組に入賞。シリコンバレーの海外投資家にプレゼンする権利を獲得させた。日本の俳優に対し、ハリウッド・ブロードウェイへの進出をサポートする英語指導も行っている。YouTubeチャンネルのトシ先生のハリウッド英会話【海外映画・ドラマ】で英語学習やプレゼンのノウハウについて配信中。

Joseph DeChicchis(デキキス・ジョー)

関西学院大学総合政策学部教授。アメリカのペンシルベニア大学で言語学、イタリアのボローニャ大学で記号論、イギリスのサセックス大学で認知科学を学ぶ。現在は言語学、人類言語学、欧米文化コミュニケーションの研究に従事。世界の英語アクセントに精通している。関西学院大学の研究生に対し、言語学や認知科学、英語習得法について指導している。The DooRでは、カリキュラムアドバイザーとして、発音矯正、文法理論、スピーキングスキルの強化など、受講生に対する英語コーチング指導のアドバイスや、教材の監修を担当している。

 

Mitsuru Arakawa(荒川満)

大学卒業後、大手人材紹介会社に入社。大阪支店にて人材紹介の営業に従事。同グループのイギリス法人にて営業マネージャーとして営業体制の再構築を担当、取締役に就任し海外法人の経営に携わる。帰国後、東京本社にて海外就職希望者の海外転職、日系企業の海外進出を支援する部門のマネージャーとして勤務。同社を退職後、シンガポールにてArchAgent Pte Ltdを設立し、代表取締役社長を務める。The DooRでは、グローバルキャリアアドバイザーとして、英語面接の対策、英文レジュメの作成、海外での起業など、キャリアアップに関する英語コーチング指導のアドバイスを行っている。

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