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【冠詞の使い方】leave officeの間の”the”の有無で大違い!英語コーチが冠詞と名詞の用法を解説!

日本人は冠詞の使い方を知らない

ほとんどの日本人は、英会話で、「a」や「the」などの「冠詞」の使い方を間違えます。日本語と英語は大きく違う言語なので、日常英会話での誤りは、気にする必要がありません。しかし、ビジネスでは、正しい英語を話すことが求められます。なぜなら、冠詞を間違えるだけで、自分の意思がネイティブに伝わらず、誤解が生まれるからです。実際に、「the」をつけるか、つけないかの違いだけで、英語の意味が大きく変わります。次の例文を比較してみましょう。

「leave office」と「leave “the” office」の違い

【例文】
He left office.「彼は、会社を辞めた。」
He left the office.「彼は退社(帰社)した。」

先に帰社した同僚に外国人のお客様が来社されたり、電話でお問い合わせがあった場合、「He left office.」と伝えたら、相手のネイティブは、慌てて事情や理由を聞いてくるでしょう。なぜなら、「leave office」は、「退職する」や「役職の任期を終える」「退任する」などの意味を表すからです。例文では、「会社を辞めた」を取り上げましたが、一般的には、「役職の任期を終える」「退任する」の意味で使われることの方が多いです。これに対し、「leave the office」は、「退社する(帰社する)」の意味になります。

I left office = leaving a political position you were elected to.
「I left office=選ばれた役職を辞めた」

I left the office = physically leaving the office where you work, possibly to go home.
「I left the office =職場から離れた。おそらく帰宅した。」

「HiNative」より引用

下記に、leave the officeのパターンで使えるビジネス英語フレーズを挙げますので、是非、ご活用ください。

【例文】
He left the office at 3:00pm. 「彼は、午後3時に会社を出ました。」
He left the office early today. 「彼は本日早退しました。」

ここまで、「leave office」の間に、「the」という冠詞があるか、ないかで英文の意味が全く違ってしまうことを学習しました。ご存じのない方が大半だったはずです。その理由は、あなたが、「冠詞の正しい知識を知らないから」です。正しい知識を身につければ、あなたも必ず、正確な英会話ができるようになります。

「冠詞」、「可算名詞」、「不可算名詞」の使い分け

ここからは、読者の方が、仕事で正確な英語が話せるように、ビジネス英語コーチの筆者が、「冠詞」、「可算名詞」、「不可算名詞」について解説します。

日本人が苦手とする冠詞の中でも最も代表的なものが「a」と「the」です。ビジネス英語コーチの筆者が、認知言語学の視点から、この違いを解説します。

まず、本日取り扱った「the」ですが、実は、「that」と語源が同じ「それの」の意味を表す単語です。一方、「a」には意味合いが二つあり、①「一つのもの」の形がまるごと全体存在していること、②「同種のものからランダムに一つ取り出したもの」、また「取り出されたものがそこに存在すること」を表します。このように、ネイティブがどのようなイメージで「a」を使っているのかを理解することで、正しい英語が話せるようになります。

次に、「the world」と「a world」の違いを例に挙げましょう。「the world」は、「この世にひとつしかないもの」の意味を表すのに対し、「a world」は、「同種のものがたくさんある」という意味を表します。

次に、正確な冠詞の使い方を理解するため、「可算名詞」と「不可算名詞」の違いを解説します。

まず、「不可算名詞」ですが、「冠詞のつかない名詞」は、「具体的な形を持たない、概念や考え方などをあらわす」名詞です。それに対し、「a」は、「まるごと1つ」という意味を表す「可算名詞」になります。車(一台)や猫(一匹)などは「可算名詞」、1つとは表せない水や粘土などは「不可算名詞」になります。

例えば、「car」を例に挙げると、一台の車は、「a car」と可算名詞で、移動手段としての車は「by car」と不可算名詞で表されます。「手段」という概念を表す場合は、まるごと1つと表現することができないからです。

先ほど例に挙げた「office」も「冠詞」、「可算名詞」、「不可算名詞」の使い方で、意味が変わります。「an office」は「1つの職場・会社(の建物)」「the office」は、「現在の特定の職場」を表します。これに対し、「office」は「役職、ポジション」という概念を表します。ですから、「leave the office」は「今の特定の職場を離れる→(退社をする)」の意味になり、「leave office」は、「現在の役職を離れる→(会社を辞める)」という意味になるわけです。

このように、冠詞ひとつだけでも、大きく意味が異なります。特に、ビジネスでは正確に自分の意思を伝え、ネイティブに誤解を与えないことが重要です。TPOに合わせた、正しいビジネス英語が使えるように、英語を学習しましょう!

この他にも、ビジネス英語について詳しく学びたい方は、下記の動画をご覧ください。


参考文献

The DooR「【ビジネス英語のマナー】「返信確認」のメールフレーズやオフィスの会話を英語コーチが解説! 『メール返信』の例文
Wall Street English「The Complete Guide To Definite And Indefinite Articles」
Your Dictionary「Definite and Indefinite Articles: Definitions and Use
HiNative「Question about English (US)

【プロフィール】

Toshiyuki Takiuchi(瀧内俊之)

関西学院大学で言語学、英語学、欧米文化について学ぶ。アメリカのエモリー大学で演劇科を専攻し、プレゼンの手法、舞台演出について学ぶ。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、NHKドラマで英語指導を担当。その後、大手英語コーチングスクールにて指導経験を積み、独立。ビジネス英語コーチングジム「 The DooR(ザ・ドアー)」のパーソナルトレーナーとして、TOEIC® L&Rの指導を行い、3か月で375点のスコアアップを記録。世界で活躍する起業家を育てる「Global Challenge」でビジネス英会話の指導を行い、受講生が、200組のうち、4組の選抜組に入賞。シリコンバレーの海外投資家にプレゼンする権利を獲得させた。日本の俳優に対し、ハリウッド・ブロードウェイへの進出をサポートする英語指導も行っている。YouTubeチャンネルのトシ先生のハリウッド英会話【海外映画・ドラマ】で英語学習やプレゼンのノウハウについて配信中。

Joseph DeChicchis(デキキス・ジョー)

関西学院大学総合政策学部教授。アメリカのペンシルベニア大学で言語学、イタリアのボローニャ大学で記号論、イギリスのサセックス大学で認知科学を学ぶ。現在は言語学、人類言語学、欧米文化コミュニケーションの研究に従事。世界の英語アクセントに精通している。関西学院大学の研究生に対し、言語学や認知科学、英語習得法について指導している。The DooRでは、カリキュラムアドバイザーとして、発音矯正、文法理論、スピーキングスキルの強化など、受講生に対する英語コーチング指導のアドバイスや、教材の監修を担当している。

 

Mitsuru Arakawa(荒川満)

大学卒業後、大手人材紹介会社に入社。大阪支店にて人材紹介の営業に従事。同グループのイギリス法人にて営業マネージャーとして営業体制の再構築を担当、取締役に就任し海外法人の経営に携わる。帰国後、東京本社にて海外就職希望者の海外転職、日系企業の海外進出を支援する部門のマネージャーとして勤務。同社を退職後、シンガポールにてArchAgent Pte Ltdを設立し、代表取締役社長を務める。The DooRでは、グローバルキャリアアドバイザーとして、英語面接の対策、英文レジュメの作成、海外での起業など、キャリアアップに関する英語コーチング指導のアドバイスを行っている。

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